アフリカの貧困、本当の援助のかたちは。

アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)

アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)

アフリカの紛争や貧困のニュースは断続的に伝えられている。自分がものごころついた頃から。
冷戦が終わってアジアに新興国が続々と誕生する一方でアフリカはいまも貧困に喘いでいる。
過去の植民地支配の為に国の発展が遅れているのだろうか。先進国の援助が足りないからだろうか。

長年の新聞記者としてアフリカ諸国を取材してきた著者がソマリアジンバブエ等の「失敗国家」のひどい実態や不穏な雰囲気を漂わせる南アフリカの現実を伝えている。ジンバブエでは猫でもわかるジンバブエの簡単な解説にもあるようにウソの様な政治が行われている。

アフリカの多くの国の政治は健全な状態ではないと著者は語っている。そのために、援助が国民に行き渡らないのだ。
問題なのは、権力者とその側近が資源開発の利権や援助を独占することに腐心し、国家の運営や行く末に興味がない、もしくはその資質がないである。
彼らは国際社会から非難されると、「あなたはレイシストだ。」と逆切れをする。
国民の困窮は自信の能力の無さが原因ではなく、旧宗主国、現地に住む白人、もしくは少数部族のせいであると主張する。

ジンバブエは現在コレラが流行している。物資が供給されないために、医療機関がまったく機能せず多くの感染者が出ている。
この件についてジンバブエの報道官は

コレラは、悔い改めない旧宗主国による計算づくで人種差別的な攻撃で、ジンバブエ侵略のため欧米諸国の支持を得ている。コレラ大流行は、英国によるジンバブエ国民に対する深刻な生物・化学兵器であり、ジェノサイドのような猛攻だ」と述べている。

ジンバブエ政権、コレラ流行は英国による「ジェノサイド」

正直言って呆れる。
政治の腐敗が除かれることがアフリカが貧困から脱却できるひとるの道だと思われる。
そして、著者は現地で活動するNGOの取り組みを取り上げている。こうしたレポートを通して真の援助とは何か考えると良いかもしれない。