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オバマ次期大統領の演説は全部見ましたか?

ラクオバマのあの感動的な勝利演説から数週間が経った。ネタとしては大分遅れているかもしれないけど、ついでに。
人種差別、公民権運動の歴史を持つ国アメリカ。21世紀を迎えついにアフリカ系の大統領が生まれる。国民の団結、融和を唱える姿は進歩の象徴であるし、世界からの信頼を失わせたブッシュ政権からの変革を望む声がそうしたのかもしれない。彼の政治手腕は未知数だけれども、人々に期待を持たせる能力には長けていると証明できただろう。非白人の大統領候補がこの問題について訴えることの説得力、インパクトの大きさは我々日本人が想像するよりも計り知れないほど大きいものなのでしょう。

It's the answer spoken by young and old, rich and poor, Democrat and Republican, black, white, Latino, Asian, Native American, gay, straight, disabled and not disabled – Americans who sent a message to the world that we have never been a collection of Red States and Blue States: we are, and always will be, the United States of America.
答えを出したのは、若者であり老人であり、民主党員であり共和党員であり、黒人、白人、ラティーノ、アジア人、ネイティヴアメリカンであり、ゲイでありストレートであり、障害者でありそうでない人々です。アメリカ人は世界に訴えました。わたしたちはただの個人の集まりではなく、赤(共和党)と青(民主党)の州の集まりではなく、合衆国なのだと。これまでも。そしてこれからも。
(中略)
Let us resist the temptation to fall back on the same partisanship and pettiness and immaturity that has poisoned our politics for so long. Let us remember that it was a man from this state who first carried the banner of the Republican Party to the White House – a party founded on the values of self-reliance, individual liberty, and national unity. Those are values we all share, and while the Democratic Party has won a great victory tonight, we do so with a measure of humility and determination to heal the divides that have held back our progress. As Lincoln said to a nation far more divided than ours, "We are not enemies, but friends…though passion may have strained it must not break our bonds of affection." And to those Americans whose support I have yet to earn – I may not have won your vote, but I hear your voices, I need your help, and I will be your President too.
わたしたちの政治を長いこと毒してきた、幼稚な分断主義の誘惑をはねのけましょう。ホワイトハウスで最初の共和党大統領が、この州(イリノイ)から出たことを忘れないでください。自立、自由、そして国としての統一性を基盤とする党です。これらの価値を、わたしたちは党を超えて共有しているのです。今宵は民主党の大勝利ですが、わたしたちの進歩の障害となっている国民の分断を、わたしたちは修復せねばなりません。今よりさらに分断されていたこの国に対してリンカーンが言ったのは、「わたしたちは敵ではない、友人なのだ。情熱は異なれど、愛情で結ばれた絆を断ち切ってはならない」ということです。

404 Blog Not Found:惰訳 - Barack Obama's acceptance speech in fullのdankogai氏による素晴らしい翻訳から一部抜粋

あのシカゴでの演説の中で、100歳を越える黒人女性について触れ、彼女が見にしてきたあの国の歴史を振り返りつつ、あの国の潜在的な可能性について説くというスケールの大きい演説でした。余談ですが、人種差別問題の象徴的なあのモンゴメリーバスもちらっと登場しました。偶然3月にHenry Ford Museumで実物を見たんですが人種差別と公民権運動の歴史の展示を見て人種問題があの国で根深いもんだと感じたのでした。

*手持ちの写真は運転席のしかない。大事なのはローザパークスが座った席なんだが。

"Chocolate City"デトロイトで芽吹いたアート

タイミングよくデトロイト訪れた年にオバマの勝利が重なり個人的にはもっと理解を深めたいなと思う今日この頃。
オバマと彼が代表する国家の課題のひとつは、分断されたコミュニティーの融和やそれぞれのつながりの再構築。
かつて暴動が起きたデトロイトの様な過去の歴史の負の遺産を抱える都市の将来はどうなってくんでしょうか。デトロイトはその都市構造故にあまり観光を勧められない場所でしょう。

旅行の時、残念ながら見ることができなかったのだけども(Hitsville U.S.A.は見学したお)、荒廃した地域の再生のために活動してきたTyree guytonの戦略はアートを通して人々の関心を引き出し、議論を活性化させ、行動をかき立てるというものだった。The Heidelberg Projectは深刻な問題を抱えるインナーシティ(スラム街)の中で犯罪の傷跡を残し、放棄された家々が残るHeidelberg Street沿いの一角を原色のドットが特徴的なストリートアートで埋め尽くすというプロジェクト。ググってもあまり国内では記事がないようだ。



アートかジャンクかという芸術の見方はともかくとしてTyree guytonとそのグループの活動の軌跡は歴史の残るものであり、オバマ当選という現在の社会の潮流は人種差別やそれに関連する問題への理解を深める良いチャンスではないでしょうか。デトロイト暴動や人種問題については藤永康政氏のエッセイや書籍が参考になりそうです。

かつてジョージ・クリントン(前大統領のことではなく、ファンク・ミュージック界の巨人のひとのことです、念のため…)は、「チョコレート色のインナー・シティとバニラ色の郊外」という表現で、デトロイトやワシントンD・Cが典型ではあるが例外ではない人口分布の現象を歌った。これがアイスクリームなら、一緒に食べる、つまり「統合」された方が良いだろう。おそらくそれは、人びとが生きる社会の理想でもある。ジョージ・クリントンが描いたのもそのような世界に違いない。彼には「国民みんながひとつのノリにあわせて踊ろうぜ」という名曲もある。

デトロイト暴動、40年後、その2

ローザパークスやキング牧師からGeorge ClintonやTyree Guitonを経て繋がれてきたバトンは次期大統領へ受け継がれるかどうか。見物ですな。

The Heidelberg Project
このプロジェクトの事を教えてくれたAmanda氏に感謝。